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本展では、2021年から発足された「再来さんやー小さい芸術祭」がアートスペースの“工事”により、2年間の参加作品で異邦人のリアリティーを再構築する。七日間にわたって、消えた「山谷」という街で起こっている日々を見つめ、映像写真及びインスタレーションの形で、あそこの風景や人々と共に生きる。
山谷(さんや)は、家を持たない人々の生活を支えてきた。
老いていく日雇労働者、外国人バックパッカー、安い宿を求める移住者、そして平凡な生活を営む住民たち。「山谷」という地名は1962年に廃止となったが、現在もこの場所で人々の生活は続いている。高層ビルに囲まれた都市の中には、どこにでもこうした現実を凝縮した「取り残された」エリアが存在するーーいつかあなたも、知らなかった街と異邦人として出会うかもしれない。
街を歩いていると、ビール缶を握って道端に座っているおじちゃんたちに目送される。そして、曲がり角にはパンくずを撒く人とその人に集まるハトの群れがいる。何故かコンビニで買い物したレシートが空き地に貼り付けられている。もう閉まっている店から笑い声と歌う声が聞こえてくる。東京唯一のドヤ街は、先入観のあるイメージから解放され、リアリティをもって私たちの心に深く響いてくる。
過去の山谷といまから20年後の山谷の様子を、私たちは知らない。本展では、七日間にわたって、消えた「山谷」という街で起こっている日々を見つめ、その風景や人々と共に生きる。そして私たち自身も自分の居場所を新たに見つけられるもしれない。
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